【中学公民・第4回】民主主義のあゆみ(絶対王政・社会契約説・立憲主義)|一問一答・無料プリント付

「民主主義でいこう!」という文字とともに、広場で多くの民衆を前に演説を行うシルクハットの男性のイラスト。『フニオの社会科』の【中学公民・第4回】「民主主義のあゆみ」のアイキャッチ画像。 中学公民

現代の日本は民主主義の国だと言われていますが、昔からそうだったわけではありません。

アメリカやヨーロッパの国々も同様です。

第4回では、民主主義にいたるまでの大まかな流れをみていきます。

絶対王政:王さまがすごく力を持っていた時代

自分たちのことは、国王や皇帝に任せるのではなく、自分たちで決めようとする民主主義の考え方は、古代アテネやローマで、すでに生まれていました。

しかし、その後の歴史をみると、皇帝や王が支配する時代が長く続きます。

特に16世紀から18世紀にかけて、ヨーロッパでは国王が国家権力を独占し、政治を思うがままに行っていました。

この政治形態を絶対王政ぜったいおうせいといいます。

当時「国王は神さまから国家権力は授かっているのだ」という王権神授説おうけんしんじゅせつがあり、この説が絶対王政を理論的に支えていたのです(なんかすごい理論だ!)。

日本ではこういった理論はなかったのですが、天皇や貴族、武士などの一部の階層に、古代から国家権力が独占され続けたという点では同じといえるでしょう。

社会契約説とは何か

しかし、絶対王政が行われていた裏側で、別の考え方も生まれていました。

「人間というのは生まれながらにして持っている権利がある。その権利を守るために、お互いに約束事をつくり、守る。この約束事を守ることによって国家が成り立つ」という考え方です。

これを社会契約説しゃかいけいやくせつといいます。

社会契約説をこの時期に主張しはじめたのが、イギリス人のトマス・ホッブズという人でした。

しかし、ホッブズは「人が生まれながらにして持っている権利は、国王に譲渡し、服従すべき」という考えで、むしろ絶対王政をサポートするような立場でした。

そのせいかどうかわかりませんが、ホッブズは中学公民ではあまり登場しません…。

その後、ジョン・ロックというイギリス人が社会契約説の、ホッブズとは別の考えを提唱しました。

「人がもともと持っている権利を代表者(議会)に託すという社会契約を結ぼう。もし政府がその権利を侵害するようなことがあったら、国民は抵抗してもいいぞ!」という考えです。

この「抵抗してもいいんだ」という権利を、抵抗権ていこうけんとか、革命権かくめいけんといい、イギリスの名誉革命を正当化し、アメリカの独立宣言にも影響を与えました。

さらにフランス人のジャン・ジャック・ルソーは、「代表者に権利を託するのではなく、直接自分たちの考え(共通の利益)を反映させよう」という、個人をより尊重した直接民主制を提唱しました。

ルソーの考えは、フランス革命に影響を与えます。

また、社会契約説とは少し違いますが、三権分立さんけんぶんりつをとなえたモンテスキューも押さえておきましょう。

小学校でも習ったと思いますが、三権とは立法、司法、行政の3つの権力のことです。

絶対王政のように「国王に権力を集中させてはいけない」と考えたのです。

社会契約説を提唱したロックとルソー、三権分立を提唱したモンテスキューについては、その主張している内容(キーワードだけでもOKです)と、著書、与えた影響などを覚えるようにしましょう。

思想家フニオの社会科:イギリスの思想家ジョン・ロックの肖像イラスト。ウェーブのかかった長いグレーヘアが特徴で、落ち着いた表情で斜め前を見据える姿。社会契約説や抵抗権を説き、近代民主主義の基礎を築いた人物。
ロック
フニオの社会科:フランスの思想家モンテスキューの肖像イラスト。横を向いたシルエットで、知的な顔立ちが特徴的。立法・行政・司法の「三権分立」を提唱し、権力の集中を防ぐ仕組みを考えた人物。
モンテスキュー
フニオの社会科:フランスの思想家ジャン・ジャック・ルソーの肖像イラスト。白いかつらをつけ、優しく微笑んでいるような柔和な表情が特徴。人民主権や直接民主制を主張し、フランス革命に大きな影響を与えた人物。
ルソー
著書統治二論とうちじろん法の精神ほうのせいしん社会契約論しゃかけいやくろん
主張権利を代表者に託すという社会契約を結ぶ。権利が侵害された場合、抵抗してもいい(抵抗権)。立法、司法、行政は分立しなければいけない(三権分立)。代表に権利を託すのではなく、直接民主制を主張。すべての国民の共通の利益に従わせる社会契約を結ぶ。
影響イギリスの名誉革命を正当化。
アメリカの独立宣言にも影響。
近代民主主義の基本となっている。フランス革命に影響。

社会を支配するのは何?

国王の勝手な支配にストップをかけるためには、国王をしばるものが必要でした。

それが憲法けんぽうです。

「人の支配」とは?

絶対王政の時代は、国王がトップに存在するので、国王が法律をつくり、国民を支配できます。

このやり方だと、国王にとって都合のいい法律もつくれるわけです。

これを「人の支配」といいます。

法の支配とは?

それに対して、憲法を国王の上に位置づけるのが「法の支配」です。

国王(国家)は憲法に反する法律はつくれません。

このように憲法による国家をつくり、政治を行うことを立憲主義りっけんしゅぎといいます。

立憲主義の国では憲法は最高法規さいこうほうきです。

憲法が一番強く、その次に法律、その次に命令です。

下のものは上のものに反することはできません。

日本をはじめとして、多くの国でこの立憲主義が採用されています。

フニオの社会科:法規の優先順位を示すピラミッド図。頂点に「憲法(最高のきまりごと)」、中段に「法律(国会で決めるもの)」、下段に「命令・規則(行政機関が出すもの)」が配置された、立憲主義の基本を学ぶための解説画像。
上位のルールに反するものを下位がつくっても無効になります。

よく勘違いされることなのですが、憲法は国民が守るべきルールというよりも、政治を行う側が勝手なルールをつくるのを防ぐためのものなのです。

【一問一答】「民主主義のあゆみ」のチェックテスト(問題・解答)

ルソーらの考えは、欧米に渡った留学生らによって日本でも幕末から明治にかけて広まりました。

その中でもルソーの『社会契約論』を翻訳した中江兆民なかえちょうみんは東洋のルソーと呼ばれました。

彼らの思想はのちに自由民権運動じゆうみんけんうんどうに影響を与えます。

今日はここまで。

アリーヴェデルチ!

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