【中学公民・第5回】日本国憲法の基本原則(国民主権・基本的人権の尊重・平和主義)|一問一答・無料プリント付

『フニオの社会科』:「日本国憲法の基本原則」の文字と、拳法着の少年が「憲法(拳法)」の力強さを表現する蹴りを繰り出すイラスト。 中学公民

ここでは日本国憲法の基本原則3つや、特色、大日本帝国憲法との違いなどについて勉強しましょう。

すでに小学校で習ったところもあると思うので、復習もかねて読んでみてください。

大日本帝国憲法の成り立ちと終わり

ドイツの憲法をモデルにした東アジア初の近代憲法

現在の日本国憲法の話の前に、大日本帝国憲法だいにっぽんていこくけんぽうについて少し触れておきます。

大日本帝国憲法は、明治政府の伊藤博文いとう ひろぶみらが主導してつくられました。

明治憲法ともいいます。

伊藤はヨーロッパを視察して、自由主義の色が強いフランスではなく、日本のように君主(皇帝)が力を持っていたドイツ(当時はプロイセンといいました)の憲法を見本とすることにしました。

帰国後、伊藤らはなんだかんだありながら憲法の草案作りを進め、1889年2月11日発布はっぷ1へとこぎつけたのです。

1889年の大日本帝国憲法発布式の様子を描いた錦絵。明治天皇が黒田清隆首相に憲法を手渡す場面が描かれている。
大日本帝国憲法発布式(PD:安達吟光 画、1889年)/国立国会図書館蔵

大日本帝国憲法は東アジアでは初めてとなる近代憲法でした。

現在の日本国憲法との違いは、主権は天皇にあり、天皇に立法や司法、軍隊に対して強い権限を与えられていた点にあります。

戦争に敗北し、新しい憲法が誕生

しかし、第二次世界大戦で敗北した日本は、戦勝国の統治下におかれます。

東京に置かれた連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は、日本の軍国主義を大日本帝国憲法に原因があると考え、新しい憲法を策定することを求めました。

そうして、大日本帝国憲法は終わって、新しい日本国憲法が制定されます。

日本国憲法の基本原則

日本国憲法は1946年11月3日2に公布され、1947年5月3日に施行されました。

そのため5月3日は憲法記念日として祝日になったわけです。

この公布された日と施行された日は、年だけでなく、月日もあわせて覚えておきましょう。

日本国憲法:3つの基本原則は?

  • 国民主権こくみんしゅけん…国民による政治を意味します。主権が(天皇ではなく)国民にあるということが、憲法の前文や第一条に書かれています。
  • 基本的人権きほんてきじんけんの尊重…国民のための政治を意味します。基本的人権とは、人間が生まれながらにして持っている権利のことです。日本国憲法では自由に生きる権利(自由権)、平等な扱いを受ける権利(平等権)、人間らしい生活を求める権利(社会権)、政治に参加する権利(参政権)など、たくさんの基本的人権について触れられています。
  • 平和主義へいわしゅぎ…国際協調や戦争放棄を意味します。前文と第9条に書かれています。二度と悲劇的な戦争を起こさないように、前文で「…政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、…」と、平和への決意を掲げています。また、第9条では「戦争の放棄」「戦力の不保持」「交戦権の否認」が書かれています。

基本原則の3つについては、次回以降で詳しくみていきます

大日本帝国憲法との違いをまとめると、このようになります。

大日本帝国憲法 日本国憲法
1889年2月11日発布制定日1946年11月3日公布
1947年5月3日施行
欽定憲法制定の主体民定憲法
天皇主権主権国民主権
元首(神聖不可侵)天皇象徴
統治権を全て掌握天皇の権限国事行為に限定
天皇に統帥権がある/徴兵制軍隊不保持(持たない)
法律の範囲内で認める国民の権利基本的人権の尊重
兵役・納税国民の義務普通教育を受けさせる・勤労・納税
天皇の協賛機関
衆議院と貴族院
国会国権の最高機関
唯一の立法機関
衆議院と参議院
天皇に対して責任を負う内閣国会に対して責任を負う
司法権は独立しているが、天皇の名において裁判を行う裁判所司法権は独立

欽定憲法きんていけんぽうとは「君主によって定められた憲法」のことです。

実際には伊藤らが草案をつくったわけですが、建前上は天皇がつくったことになっています。

それに対して民定憲法みんていけんぽうとは「国民、もしくは国民が選んだ代表者によって定められた憲法」のことです。

国民主権と象徴天皇制とは?

大日本帝国憲法と比較するとよくわかるように、日本国憲法は国民に権利が与えられている憲法といえます。

政治のあるべき姿を決める権利は国民にあるのですが、実際には国民が選んだ代表者(議員)が国会で議論を行い、決めていきます。

これを議会制民主主義ぎかいせいみんしゅしゅぎといいます。

間接的に民主主義に関わるので、間接民主主義ということもあります。

ただ、裁判員制度や憲法改正の国民投票など、国民が司法や立法に直接参加する場面もあり、併用されている感じになっています。

一方天皇は、大日本帝国憲法では絶大な力を持っていましたが、日本国憲法では国政に対する権限は持たず、日本国と日本国統合の象徴しょうちょうという位置づけに変わりました(第1条)。

天皇は憲法に定められた儀礼的な国事行為こくじこうい(10項目)のみ、内閣の助言承認しょうにんによって行います(第7条)。

憲法を改正するには?

憲法は国の最高法規さいこうほうきなので、簡単には変更できないようになっています。

日本国憲法の改正は、これまで話題にはなってきましたが、一度もされたことはありません。

改正の手続きが厳格な憲法を硬性憲法こうせいけんぽうといいます。

対して、改正手続きが他の法律と同じくらいの憲法を軟性憲法なんせいけんぽうといいます。

憲法改正までの道のりを示すフローチャート。議員提案から衆参両院での3分の2以上の賛成、国民投票での過半数の賛成を経て、成立・公布に至るまでの流れ。条件を満たさない場合は廃案となる。

国会で「総議員の2/3以上の賛成」というのが、かなりハードルが高い要件となっています。

ちなみに国民投票の投票権は満18歳以上となっています。

【一問一答】「日本国憲法の基本原則」のチェックテスト(問題・解答)

公民は意外と「数」を覚える必要があります。

今回でいうと、公布の日だとか、可決に必要な議員の数とか、投票権の年齢とか…。

チェックテストで確認しながら、少しずつ覚えていきましょう!

今日はここまで。

アリーヴェデルチ!

  1. 2月11日は、現在では「建国記念の日」となっていますが、当時は神武天皇が即位したとされる「紀元節きげんせつ」という祝日でした。 ↩︎
  2. 11月3日は明治天皇の誕生日にあたるため、戦勝国側から「公布の日にふさわしくない」というクレームが入りました。公布日は結局そのまま11月3日でしたが、そうした経緯があったためか11月3(日が憲法記念日になることはなく、文化の日として祝日になったらしいです。 ↩︎

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