世界には6,000以上とも、7,000以上ともいわれる言語があります。
言語にはその一つひとつに、使ってきた人たちの歴史や文化が刻まれています。
今回は、世界で使われている言語について解説していきます。
世界で最も話されている言語は?
世界で最も話されている言語はなんでしょうか。
これは「話されている」という言葉の捉え方によって変わってきます。
まず「幼少期に最初に覚えた言葉」を母語といいますが、母語の数でいえば1位が中国語、2位がスペイン語、3位が英語といわれています。
母語と母国語はちょっと意味が違いますから、注意してくださいね。
憲法や法律で規定されていたり、公文書で使われている公用語とも少し意味が異なります。
母語・公用語・母国語の違い
| 言葉の種類 | 意味(視点) | 使う場面 | 世界での具体例(ズレるケース) |
| 母語 | 「個人」の視点 生まれて最初に覚え、一番得意な「心の言葉」 | 家族との会話、思考、夢、独り言 | アメリカで生まれ育った日本人の子は、母語が「英語」になる。 |
| 公用語 | 「社会」の視点 国がルールとして決めた「公式な道具としての言葉」 | 役所の書類、教科書、ニュース、裁判 | シンガポールでは、家では中国語(母語)を話すが、公用語は「英語」。 |
| 母国語 | 「国家」の視点 自分の国籍がある「国の言葉」 | 自分のルーツやアイデンティティを示す時 | カナダ国籍を持つフランス系の人は、母国語が「フランス語(と英語)」。 |
母国語という言葉は少しあいまいなので、場面によって「母語」の意味で使われたり、「公用語」の意味で使われたりします。
では、単純に「話されている数」もしくは「話せる人の数」でいうと、1位は何の言語でしょうか。
何となく予想がつくと思いますが、1位は英語です。
言語の地図は「歴史の足跡」
英語はもともとイギリスで話されていた言語です。
しかし、世界地図を広げると、イギリスから遠く離れたアフリカやアジアでも英語が話されています。
これは、かつてイギリスが世界中に植民地を広げた歴史があるからです。
また、イギリスから宗教的迫害を逃れて北アメリカ大陸に渡った人たちが、アメリカ合衆国を建国し、そのアメリカが20世紀以降に政治的にも、経済的にも世界に大きな影響を持つようなったことも関係しています。
植民地と言語の関係でいえば、スペイン語についても同じことがいえます。
大航海時代、コロンブスがスペインの援助をうけてアメリカ大陸を発見して以来、スペインは南アメリカを次々と支配していきました。
当時スペインのライバルだったポルトガルも、少し遅れて南米に進出します。
その支配の歴史の影響から、南米のほとんどの国ではスペイン語が、ブラジルのみがポルトガル語を公用語としています。
ちなみに現在の世界共通語といえば英語のイメージがありますが、18世紀ごろまでは「外交や教養の世界共通語」といえばフランス語でした。
「会議は踊る。されど進まず」で有名なウィーン会議では、フランスは敗戦国であるにもかかわらず、フランス語で会議が行われ、フランス語の議定書が作成されています。
今でもオリンピックのアナウンスで、英語よりもフランス語が先に流れるのはその名残です。
あえて「外来語」を選ぶ多言語国家
一つの国に複数の公用語がある多言語国家も珍しくありません。
カナダやベルギーが有名ですが、もっと複雑なのがインドやアフリカの国々です。
こうした国々では、国内に何百もの部族と言語があるため、特定のグループの言葉を公用語にすると争いになりかねません。
そこで、あえてかつての宗主国の言葉(英語やフランス語)を「みんなが平等に使える共通語」として採用しているのです。
バラバラになりそうな国を一つにまとめるための、現実的な知恵なんですね。
世界の主な多言語国家
| 国名 | 主な公用語 | 特徴・背景 |
| インド | 英語、ヒンディー語 (ほか憲法公認の22言語) | 800以上の言語がある超多言語国家。特定の民族の言葉に偏らないよう、かつての宗主国の言葉である英語を共通の道具として使っている。 |
| ベルギー | オランダ語、フランス語、ドイツ語 | 北部のオランダ語圏と南部のフランス語圏で、地域によって話す言葉がはっきり分かれている。首都ブリュッセルは両方の言葉が使われる。 |
| カナダ | 英語、フランス語 | かつてイギリスとフランスの両方の植民地だった歴史がある。ケベック州ではフランス語が主に話され、独自の文化を大切にしている。 |
| スイス | ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語 | 周辺国の影響を受け、4つの言葉が公用語。地域ごとに使う言葉が違うが、学校で複数の言語を学ぶため、多言語を操る人が多い。 |
| シンガポール | 英語、中国語、マレー語、タミル語 | 多民族が共存するため、中立な「英語」を共通の公用語にしている。独自の英語「シングリッシュ」が生まれるなど、言葉が混ざり合っているのが特徴。 |
| 南アフリカ | 英語、アフリカーンス語 (ほかズールー語など全12言語) | 多様な民族が住む「虹の国」。12もの公用語があるが、ビジネスや行政では実質的に英語が中心的な役割を果たしている。2023年には手話も公用語に追加。 |
消滅危機言語とは? 言葉は「生きる知恵」のバックアップ
私たちが最初に覚える母語は、単なる伝達手段ではなく、考えをまとめたり記憶したりする「思考の道具」です。
例えば、日本の少数言語であるアイヌ語。
文字を持たなかったアイヌの人々は、言葉に魂が宿ると考え、自然と共生する知恵を語り継いできました。
「ラマッ」という言葉には、「魂」「命」「霊魂」といった意味があり、自然界の全てのものに「ラマッ」があると考えられています。
そこには人間だけでなく道具や自然すべてを大切にするという、今のSDGsにも通じる精神が込められています。
しかし今、こうした消滅危機言語1が増えています。
言葉が消えることは、その民族が何千年もかけて積み上げてきた「生き抜く知恵」が失われることでもあるのです。
【一問一答】「世界のさまざまな言語」のチェックテスト(問題・解答)
かつては「言葉の補助手段」と考えられていた手話ですが、現在は「言語」であるという認識がスタンダードです。
先に南アフリカでふれたように、世界には手話を公用語としている国もあります。2
ちなみに日本の公用語は実質的に「日本語」ですが、これは法律で定められた公式のものではありません。
今日はここまで。
アリーヴェデルチ!



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