GHQの最高司令官マッカーサーが行った占領政策は「非軍事化」と「民主化」です。
今回は「民主化」について具体的に見ていきましょう。
マッカーサーの「五大改革指令」
第二次世界大戦の終結とともに、鈴木貫太郎内閣は総辞職し、東久邇宮稔彦内閣が組閣されました。
しかし東久邇宮内閣はGHQと対立したため、すぐに総辞職しました。
その後の内閣を任されたのが、かつて協調外交で有名になった幣原喜重郎です。

首相になった幣原にマッカーサーは次の指令を口頭で伝えます(五大改革指令)。
- 女性参政権の実施
- 労働組合の結成の奨励
- 教育の自由化
- 秘密警察などの廃止
- 経済の民主化
戦後の民主化は、この5つの指令をもとに進められることとなりました。
政治の民主化
真っ先に行われたのが治安維持法の廃止です。
1925年に成立したこの法律を廃止し、政治活動を自由に行えるようにしました。
政府や軍部に対して批判的な人物を取り締まっていた特別高等警察(特高)も廃止。
思想や結社の自由を認めることで、偏った全体主義に走らないようにしたんですね。
また、治安維持法と同じ年に成立した普通選挙法が改正されました。
満20歳以上の男女に選挙権が与えられたことで、女性も政治に参加できるようになりました。

政党と社会運動の復活
大政翼賛会にまとめられてしまっていた政党活動が復活し、社会党(日本社会党)や日本自由党が結成されます。
弾圧されていた日本共産党も再建されました。
1945年10月に労働組合法が制定されると、官公庁や民間企業で数多くの労働組合が組織されました。
さらに1946年には労働関係調整法、1947年には労働基準法も制定され、労働者を守るための法整備が進みました。1
経済の民主化
日本の軍艦や戦闘機、戦車などを作っていたのは、財閥のグループ会社でした。
例えば、有名な「零戦」を作っていたのは三菱重工業です。
そこでGHQは1945年11月に、三井、三菱、住友、安田などの財閥に解散を命じました。
これを財閥解体といいます。

軍を支えた心臓部を止めるとともに、一部の人たちが経済を独占することを防ぎ、健全な競争ができる経済を作ろうとしたのです。
農業の民主化
明治以降、地租改正により所有者が明確化されましたが、その後の不況や恐慌の影響で自作農の割合は少なくなっていました。
太平洋戦争開戦前の1940年には、全国の農地の約45%は小作地だったのです。
小作人は、農地を借りてお米をつくり、レンタル料(小作料)として収穫したお米の半分を地主に納めていました。
自分では農業をせずに、小作料で利益を上げる人たちを「寄生地主」といいます。
この寄生地主制のために、小作人は貧しい暮らしを強いられており、その貧困を解消するために対外戦争を起こしたと考えられていました。
そこで、GHQは寄生地主から強制的に買い上げ、小作人に安く売り渡すことで、自作農を生み出したのです(農地改革)。
その結果、1950年には全国の農地の約90%が自作地となりました。
教育の民主化
戦後の学校では、使っていた教科書の軍国主義的な部分を墨で塗りつぶす「墨ぬり教科書」が使われていました。
1947年には「教育の機会均等」「男女共学」「義務教育」などを定めた教育基本法と、小学校6年、中学校3年、高校3年、大学4年の学校制度を定めた学校教育法が公布・施行されました。
現在の学校の形は、この時期につくられたのですね。
日本国憲法の制定
GHQは日本を民主化させるためには、憲法を変える必要があると考えました。
大日本帝国憲法を改正するように日本政府に指示を出しましたが、日本政府から上がってきた憲法案は「天皇の統治権を認める」など、従来の憲法とほとんど同じような内容だったのです。
当時、GHQは新しい憲法制定を急いでいました。
ソ連が日本の統治に口出しをして、日本を社会主義国家のようにしてしまっては困るからです。
また天皇の統治権などを認めたままでは、他の連合国も納得しそうにありません。
そこでGHQは民間の憲法草案をもとに、マッカーサーの意見を取り入れ、「象徴天皇制」などを盛り込んだ案を日本政府に示します。
日本政府はその草案をもとに憲法をつくり、帝国議会で審議と修正を経て、1946年11月3日に公布されました。
この新しい憲法は日本国憲法として、1947年5月3日から施行され、現在に至ります。2
民主化によって、女性の生活はどのように変わったか。
戦後の民主化は、日本の女性の法的・社会的立場を根本から変えました。1945年の参政権獲得に続き、1947年施行の日本国憲法第24条には「個人の尊厳と両性の本質的平等」が明記されました。これに基づき旧民法が改正され、家長が絶対的な権力を持つ「家制度」が廃止。女性は結婚や相続において男性と対等な権利を手にしました。教育の機会均等も進み、家庭内での従属から解放され、自立した個人として社会に参画する基盤が築かれたのです。
【一問一答】「民主化と日本国憲法」のチェックテスト(問題・解答)
戦後の民主化について、「女性・労働・教育・弾圧・経済」の面から、具体的な施策を挙げられるようにしておきましょう。
今日はここまで。
アリーヴェデルチ!


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